Naganawa Mitsuo: articol în japoneză despre Melodul  Iacob Tihai, misionar în Japonia secolului XIX

Coperta volumului "Nikorai-do ibun"

Publicăm mai jos, în limba niponă, articolul "În căutarea lui Iacob Tihai” ("Looking for Iakov Tihai” – engleză) semnat de istoricul Naganawa Mitsuo, articol consacrat integral compatriotului nostru care, alături de fratele său, Cuviosul Anatolie Tihai, şi un alt consângean, melodul Dimitrie Livovschi, a fost misionar ortodox în Japonia secolului XIX. Într-o variantă modificată, articolul a apărut în anul 2007 în  volumul "Nikorai-do ibun” (Mostenirea catedralei Nikorai do) tipărit de editura  tokiotă  "Seibunsha”. Într-o bună zi, când vom avea, cu ajutorul lui Dumnezeu, traducerea românească a acestui articol, o vom pune la dispoziţia publicului larg, pentru o mai bună cunoaştere a trecutului nostru, dar şi a relaţiilor româno-nipone, ale căror începuturi li se datorează românilor basarabeni.

Îi aducem şi pe această cale mulţumirile noastre speciale domnului  profesor Naganawa Mitsuo, care a avut amabilitatea să ne transmită textul schiţei biografice de mai jos.

ヤコフ・チハイを探して

Ⅰ

『ロシア手帖』という小さな雑誌の二二号（昭和六一年六月)にこんな文章を書いた。

「ロシアの宗務院は掌院ニコライの協力者として、明治四年（一八七一年）の暮、修道司祭アナトリイ・チハイを日本に遣わした。私が今ここに書こうとしているヤコフはこの神父の実の弟で、伝えられるところによれば、モスクワで音楽の教師をしていたのを見込ま

れ聖歌隊の養成のために、明治初年、兄に呼び寄せられて来日したのだという。

この人の名は牛丸神父の『日本正教史』をはじめ教会関係の文献の中で何度か目にはして いたのだが、その消息にことさら関心を持つにいたったのは、七年ほど前に聞いた教会の古老の話に端を発している〔この小さな文章が書かれたのは昭和六二年 のことである〕。この老信徒は神学校の出身者で、一時期伝道活動に従事していたこともあったのだが、ロシア革命後、教会財政が逼迫したのを機に教会を離 れ、以来多くの曲折を経て今は『日本酒新聞』という業界紙を主宰している。こうした経歴の持ち主だけに、氏はさすがに情報通で、これまでも私の求めに応じ て何度か有益な話を聞かせてくれたのだが、その中で、何となく心の端にひっかかっていたのがヤコフのこと、より正確に言えば、その遺族のことであった。

氏の話とは――、ヤコフは館林あたり出身の日本人女性と結婚し、二人ほどの男の子をも うけたが、いつかは知らないが日本で死んだはずだ。夫の死後日本人の妻は子供たちをつれて一時ロシアに渡ったが、日露戦争の頃に単身帰国し、その後は消息 を断った。息子たちの方は「あいの子」ということで、ロシアでは随分といじめられたらしいが、横川省三と沖禎介がロシア軍に捕えられた時に、通訳をつとめ たのがたしか息子の一人だったはずだ――というものであった。異郷の土と化した夫、子供を他国に残して帰国したまま市井に消えた妻、日露の軋轢の波に弄ば れた遺児たち――老信徒の話は二つの国の交流の裏側に埋もれた物悲しい家族の記録として、爾来、私の心の一隅に住みつき、それからというもの、昔のことを 知っていそうな人に会うたびに、チハイ一家のことをたずねてみるのだが、誰一人として知っている人はいなかったのである。

そんなある時、いや、ここでは日付を正確に記そう。一九八二年五月一五日付の『今日の ソ連邦』六〇号に「ヤコフ・チハイについての照会」という見聞き二ページの記事が載った。筆者の石井秀行氏は、札幌市内在の会社員で、曾祖父の代からので ある由。記事の内容は、北海道から琴の演奏団がソ連公演に出かけるにあたり、その演奏曲目の中にヤコフの作曲になる琴の旋律を取り入れた聖歌が含まれるこ とになっているが、ついては、このヤコフ・チハイについてソヴィエトで調べをつけてくれないだろうかと依頼し、念のため、日本で分かった限りのことを記し たものである。私はこの記事から、ヤコフ夫妻が明治十三年に、兄のアナトリー神父と共に、丁度時を同じくして聖像画の研究のためにペテルブルグに向うこと になっていた山下りんを伴って、一時帰国したこと、夫妻にはこの時、四歳になる知恵おくれの長男と二歳になる子供がいて、夫人は妊娠中であったこと、兄弟 の出身地がウクライナであるらしいことなどを知った。だが、この時は石井氏にもこれ以上のことは分らなかったらしい。